トマトパークだより-第33便- | トマトパーク

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写真1 塗布剤散布後イメージ

トマトパークだより-第33便-

遮熱塗布剤レディヒート

 桜花の候、急速に日長が伸び、それに伴う気温の上昇が環境管理をする上での留意点となります。また、現在多くの施設経営者が作の休耕を夏季に設定している理由は、露地花き・野菜が溢れるとともに、ハウスが栽培や作業に過酷な温度になっていることではないかと思います。さらに近年の温暖化は、その傾向に拍車をかけるでしょう。

 

1.塗布剤の使用と除去について

 春先から初夏にかけてカーテンによる遮光をされる方が多いと思いますが、6月以降は遮光をしていてもハウス内気温が高くなり、植物がしおれたりすることがあります。これは気温と日射量により植物体温が上昇しすぎることが原因です。

 今回お話するレディヒートは、植物が光合成で使用できる光(光合成有効放射:PAR)の反射を最小限に抑えつつ、日射に含まれる熱線(近赤外線:IR)の多くを反射します。極端な表現をすると、レディヒートを使用することで、熱を除いて光は可能な限りハウス内に取り入れることができるということです。

 誠和のグループ会社である「株式会社レディシステムジャパン」では、レディヒートを2.5缶/10aを使用した光合成有効放射(PAR)の遮光率を「13%」、熱線(IR)の遮光率を「24%」とすることを推奨しています(表1参照)。

表1 1000m2あたりの使用量(※黄色部分を推奨しています)

表1 1000m2あたりの使用量

 ちなみに、日射量と気温が低下する秋口以降は、屋根面に残された塗布剤が光を減少させてしまうため、除去剤(レディクリーン)を用いることをお勧めしています。

 

2.トマトパークにおける塗布剤の使用について

 株式会社トマトパークでは、2017年、2018年とレディヒートを使用しました。2019年では5月8日に散布を行い、加えて8月中旬の合計2回の塗布を予定しています(表2参照)。塗布剤は乾燥させる必要があるため、晴れた日の早朝から散布することが推奨されます。

表2 トマトパークの塗布計画

表2 トマトパークの塗布計画

  ※1 天候の関係で作業後半の日程を改めています。

  ※2 1回目は「レディヒート」、2回目は上塗りで「レディソル」を散布しています。

 

写真1 塗布剤散布後イメージ

写真1 塗布剤散布後イメージ

3.遮熱塗布剤の効果と使い方について

 通常、ハウス内温度が高くなりすぎないように遮光カーテンを稼動します。この時期、日中遮光カーテンが閉まる時間は長くなってしまう傾向があります。今回お話している“レディヒート”を塗布することで、ハウス内に入る光は、散布量にも関係しますが、約15~25%失われてしまいます。しかし、それ以上に熱を遮断する効果があります。その結果、日中の最も暑い時間帯のみ遮光カーテンを閉めるような設定ができ、遮光カーテンの稼動時間が短縮され、そのことによって、より光がハウス内に入る環境となります。つまり、遮熱塗布剤とLSスクリーンを上手く併用することで、夏場の暑い時期でも光が多く入り、かつ涼しい環境となり、作業面や栽培管理の能率が高まります。

レディヒートについて、㈱誠和 研究開発部の方に尋ねてみました。以下がそのコメントとなります。

“レディヒートをお勧めする理由は、過度の温度上昇を抑えながらも光のロスは極力小さくするため、最終的に品質・収量を維持、向上させることにつながりやすいからです。

 まだ我々の知見が確立されていませんが、レディヒートを使用することで環境制御の方法が変わってくることがあります。季節によって管理方法が異なるように、利用する資材によっても制御方法は変わりますのでご注意ください。

 こういったノウハウを高めていくために、環境測定器でデータを記録しておくことは役に立ちます。やはりどんな資材を利用しようとも環境の可視化、データ化は必要なことです。”

 

4.おわりに

 弊社は塗布剤についての確立した技術・知見をまだ保有していません。しかし、昨今の夏場の温度上昇を考えると遮熱を行う必要性は高まってきており、栽培上効果があるということには自信を持っています。生産者の方々も塗布剤単体としてではなく、それを取り巻く様々な状況に気づけば気づくほど塗布剤は必要とされる技術になっていくと考えています。

 誠和は光合成の最大化による収量の最大化を目指しています。光合成を最大化させるためには、植物にとっての最適な環境を作ってあげることが必要であり、そのためにトマトパークなどでの試験を通じて先進的な技術の実証と普及に取り組んでいきます。

 

レディヒートに関しての詳細はこちら!

https://redusystems-japan.seiwa-ltd.jp/

 

参考資料:トマトパークだより第20便-2018年4月5日-『遮熱塗布剤の機能と役割』

(株式会社誠和のwebサイトに移行します。)

https://www.seiwa-ltd.jp/labo/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%A0%E3%82%88%E3%82%8A%EF%BC%8D%E7%AC%AC20%E4%BE%BF%EF%BC%8D2018%E5%B9%B44%E6%9C%885%E6%97%A5/

 

トマトパーク栽培状況 4月

大玉トマト -栽培室①-

【栽培ノート:2019年3月16日~2019年4月15日】

 定植:8月17日

 品種 穂木:りんか409(株式会社 サカタのタネ)、台木:フレンドシップ

 栽植密度:3.64本/m2

 生育状況  (4月15日現在)

 総草丈:541.4cm、葉数:11.7枚、開花段数:23.3段、

 収穫段数:17.8段目、収量:30.18t/10a

 栽培作業  (3月16日~4月15日)

 誘引(巻きつけ)、吊り降ろし、わき芽取り、摘花、

 直上葉・中間葉・下葉の摘葉、果梗切り、収穫

 病害虫防除 (3月16日~4月15日)

 うどんこ病防除、灰色かび病防除

 

ミニトマト -栽培室③-

【栽培ノート:2019年3月16日~2019年4月15日】

 定植:8月17日

 品種 穂木:TY千果(タキイ種苗 株式会社)、台木:グリーンフォース

 栽植密度:4.2本/m2

 生育状況  (4月15日現在)

 総草丈:1029.6cm、葉数:18.7枚、開花花房:30.2段、

 収穫段数:23.3段目、収量:18.48t/10a

 栽培作業  (3月16日~4月15日)

 誘引(巻きつけ)、吊り降ろし、わき芽取り、摘花、

 中間葉・下葉の摘葉、果梗切り、収穫

 病害虫防除 (3月16日~4月15日)

 なし

 

  写真2 大玉トマトの成長点付近の様子              写真3 ミニトマトの成長点付近の様子           

写真2 大玉トマトの成長点付近の様子         写真3 ミニトマトの成長点付近の様子

 

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