トマトパークだより-第37便- - トマトパーク

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写真1 栽培室①大玉トマト

トマトパークだより-第37便-

トマトパーク2018年度作 振り返り

 3年目のトマトパークは、過去2年よりも収量を伸ばすことができました。大玉トマトは55t/10a(写真1)、ミニトマト32t/10a(写真2)という結果で、2019年7月20日に栽培を終了しています。また、次世代型の管理下においては、大玉トマトは60t/10aを超え、日本品種における記録を大きく更新できたといえます(写真3)。「要因は?」と問われると、次のようにお答えします。地味な項目ばかりですが、これが現実です。 石の上にも3年というように、地道な継続の中で、薄紙を重ねるように、技術は積みあがっていきます。

写真1 栽培室①大玉トマト

写真1 栽培室①大玉トマト

 

写真2 栽培室③ミニトマト

写真2 栽培室③ミニトマト

 

写真3 栽培室⑤次世代型

写真3 栽培室⑤次世代型

 まずは、過去2年間の経験から確立した管理手法が挙げられます。これは、過去の失敗から学んだ部分です。例えば、「作業台車でトマトを傷つけないように、通路を10cm広くとる。」など、小さな改善項目の積み重ねです。今期は、栽培管理における作業品質の向上を目指し、トマトパークアカデミーの研修生各自が担当する専任区画を設けました。そこで、研修生同士が作業品質の比較や評価を積極的に行う機会を持ちました。お互いを評価することに難しさもありますが、良い手本に倣う事で、速やかに技術の伝達や向上がなされ、トマトの栽培管理の品質は確実に上がりました(写真4)。適期に行えるか否かも含め、誘引・摘果・葉かきなどの栽培管理の品質は、とても基本的な事ですが、収穫量を大きく左右します。

写真4 栽培室①通路の様子
写真4 栽培室①通路の様子
 

 次に、データ活用です。環境制御における設定値、生育調査結果における正しいバランスの数値など、これまでのデータは全て指針として利用できます。過去2作から導き出した「環境」と「生育」の理想値をなぞるように栽培してきました。これまでの大玉に関しては、毎年生殖成長側に大きく偏ってしまうミスがあったのですが、過去2作のデータを生かし、今期は回避しました。データは年数を経て、それを基とした管理はより精緻なものになっています。同一品種を継続して栽培していく中では、「環境」と「生育」、そして「培養液分析」、この3種のデータはトマトパークにとって、失敗しないための必須アイテムです。

 最後に、過去2年よりも高い栽植密度への増枝です。最終の密度を4本/㎡にまで増やしました。結果的には、これが最大の要因となりました。トマトパークは、光透過率70%のハウス環境においては、すでに3.6本/㎡という高い栽植密度を標準としてきました。これは、光の利用効率(生育)と農場運営における工数管理の観点から、ベストだと判断してきたためです。その点では、今回の増枝はチャレンジでもありました。このチャレンジは、研修生達の中から生まれました。そして、増枝方法に関しても、段階的に増やすことで、より効果的に収穫量を伸ばし、工数負荷を軽減することも示唆され、栽植密度管理の新しい指針ができました。

 前述した専任区画もそうですが、収穫量を伸ばした背景には、トマトパークアカデミー研修生の若い彼らの発想があります。ベテランとなった私達社員では、経験が邪魔をしてしまう事も多々あります。本数を増やすことは、作業遅れが発生する不安感が先に来てしまうのが本音です。トマトパークは、毎年、新しい研修生を迎えます。私達が教えるだけではなく、彼らから教わることはとてもたくさんあります。また、卒業していったOB達の各地での活躍には、常に大きな刺激をもらえています。すでに、第4期生10名と新しい栽培をスタートしました。今期の彼らが育てるトマトは、どんな姿を見せてくれるのか今から楽しみです。また、彼らと共に成長する機会をもらえているトマトパークは、大きな目標である「Road to 70t」に向け、前進していきます。トマトパークは、今期も魅力ある農場として、新しい情報発信に努めていきます。ご期待下さい。

 

 

トマトパーク栽培状況 8月

大玉トマト -栽培室①-

【栽培ノート:2019年8月17日~2019年8月28日】

 定植:2019年8月17日

 品種 穂木:りんか409(株式会社 サカタのタネ)

    台木:フレンドシップ(株式会社 サカタのタネ)

 栽植密度3.12本/m2

 生育状況  (8月17日現在)

 総草丈:38.5cm、葉数:6枚

 栽培作業  (8月17日~)

 定植、誘引

 病害虫防除 (8月17日~)

 なし

 

ミニトマト -栽培室③-

【栽培ノート:2019年8月17日~2019年8月28日】

 定植:2019年8月17日

 品種 穂木:TY千果(タキイ種苗 株式会社)

    台木:グリーンセーブ(タキイ種苗 株式会社)

 栽植密度:3.12本/m2

 生育状況  (8月17日現在)

 総草丈:47.3cm、葉数:5.5枚

 栽培作業  (8月17日~)

 定植、誘引

 病害虫防除 (8月17日~)

 なし

 

写真5 定植直後の様子

写真5 定植直後の様子

 

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