トマトパークだより-第32便- | トマトパーク

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トマトパークだより-第32便-

春の潅水管理

 2月から3月にかけて、季節が日毎に春めいてまいりました。この時期は、ハウス内管理も大きく変化する時期となります。今回は、そんな大きく変動する環境と管理、特に潅水についてお話ししていこうと思います。

 まず1月中旬から3月にかけて、環境がどのように変化したのかをみてみましょう。グラフ1は誠和でサービスを行っている「プロファインダークラウド」にて公開しているトマトパークの環境データです。1月13日、2月18日、3月18日の日射量を比較しています。

グラフ1 トマトパークの日射量の変化

グラフ1 トマトパークの日射量の変化

  1月13日 2月18日 3月18日
最大日射量(W/m2) 397 599 743
積算日射量(MJ/m2) 7.09 12.77 17.15
日の出時刻 6:50 6:30 5:50
日の入り時刻 16:50 17:25 17:50

 

(※日の入りおよび日の入りの時刻は、下野市のものです。)

 

 晴天日の積算日射量は、1月中旬で約7MJ/m2、2月中旬で約13MJ/m2で約1.9倍になっています。さらに、3月中旬には約17MJ/m2になり、2月中旬の約1.3倍になっています。この急激な環境変化に合わせて、暖房や換気の温度設定、保温カーテンの開時間、遮光カーテンの日射強度、潅水の開始と終了時刻の設定などの環境設定の変更が必要となります。また、摘葉の調整で葉面積を増やすことや、樹勢に合わせて摘果の調整も必要になってきます。

 積算日射量の増加量はさきほどお話しした通り、この時期急激に増加していきます。日射量の増加で注意すべきは「しおれ」の発生です。
 植物体の約90%は水分で構成されており、葉から蒸散した分の水分を根が培地中から吸い上げています。この蒸散が多くされた場合、蒸散に根の吸収が追いつかない、もしくはそもそも培地内の水分がなくカラカラな状態だと、「しおれ」が起きてしまう可能性があります。
 「しおれ」の状態は、植物で最も大切である「光合成」を妨げてしまいます。また、水分を吸水しない=必要な肥料も不足し、生理障害にもつながります。

 そのような状態にならないよう根圏環境を適切にする必要があります。
 トマトパークでは、1日のはじめの潅水は日の出の1~2時間後に行い、1回目の排液が潅水を開始した2~3時間後に出るのが理想的としています(※天候によって差はあります)。また、1日の最後の潅水は日の入りの2~3時間前に行っています。夜間、培地内の水分が多量で過湿になると、根が酸素を吸うことができず、根傷みを起こしてしまいます。根が傷むと水分を吸収しなくなってしまうため、日中の「しおれ」を発生させる要因になります。
 一方、曇天時の潅水も大切で、連日曇天続きに多く潅水をすることで根が慣れてしまい、吸水量が低下してしまいます。曇天後の晴天は、急激に蒸散をするため根が追いつかず、「しおれ」てしまうこともあります。
 そのため、曇天時も蒸散を促すような環境管理と、潅水を控えて根が積極的に吸水の活動をするように操作し、晴天時に吸水が遅れないように根の活性を保つようにします。根圏環境を最適にし、「しおれ」、さらに「生理障害」を起こさないことにつながります。

写真1 大玉トマトの根の状態

写真1 大玉トマトの根の状態

 トマトパークでは、毎日の潅水量から排液率までデータをとり、日々環境と植物の状況にあった潅水の設定変更を行っています。また、トマトパークアカデミー生とともに、根の状態観察も定期的に行っています。
 今回ご案内しました内容は、あくまでトマトパークで行っている一例です。培地の種類や容量、保水性によって潅水方法は異なります。トマトパークではこれからの最大収穫時期を迎えるためにも、 しおれに強い株づくりをしてまいります。

 

トマトパーク栽培状況 3月

大玉トマト -栽培室①-

【栽培ノート:2019年2月16日~2019年3月15日】

 定植:8月17日

 品種 穂木:りんか409(株式会社 サカタのタネ)、台木:フレンドシップ

 栽植密度:3.64本/m2

 生育状況  (3月15日現在)

 総草丈:479.7cm、葉数:12枚、開花段数:20.3段、

 収穫段数:14.5段目、収量:23.12t/10a

 栽培作業  (2月16日~3月15日)

 誘引(巻きつけ)、吊り降ろし、わき芽取り、摘花、

 直上葉・中間葉・下葉の摘葉、果梗切り、収穫

 病害虫防除 (2月16日~3月15日)

 うどんこ病防除、灰色かび病防除

 

ミニトマト -栽培室③-

【栽培ノート:2019年2月16日~2019年3月15日】

 定植:8月17日

 品種 穂木:TY千果(タキイ種苗 株式会社)、台木:グリーンフォース

 栽植密度:4.2本/m2

 生育状況  (3月15日現在)

 総草丈:910.1cm、葉数:12.2枚、開花花房:26.3段、

 収穫段数:20段目、収量:14.68t/10a

 栽培作業  (2月16日~3月15日)

 誘引(巻きつけ)、吊り降ろし、わき芽取り、摘花、

 中間葉・下葉の摘葉、果梗切り、収穫

 病害虫防除 (2月16日~3月15日)

 うどんこ病防除、灰色かび病防除

 

  写真2 大玉トマトの果実の様子              写真3 ミニトマトの果実の様子           

 写真2 大玉トマトの果実の様子            写真3 ミニトマトの果実の様子

 

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