トマトパークだより-第43便-
今年の新たな取り組みについて
①トマトパーク下野第2農場が稼働
2019年7月からトマトパーク第1農場の隣に、栽培面積約1haのハウスが稼働しました。栽培開始から約半年が過ぎ、栽培管理も軌道に乗ってきたところです。今回は新しいハウスの現在までの様子を紹介します。
ハウスの仕様や外観のフォルムはトマトパーク第1農場と同じで、作業室は青色を基調とした壁となっています。
ハウスの軒高は6m、間口8mの10連棟、柱ピッチは5m、屋根の垂木は2.5mピッチなっています。スクリーンは2層、床レールと樹間レール(ベッド上)の2種類の温湯管による暖房(燃料はLPG)、CO₂はLPGの燃焼ガスを利用、栽培装置はSHガターDuoを使用したロックウール栽培です。
【耕種概要】 定植日:2019年7月31日
栽植密度:3.1株/m²
品種:「カナバロ」、台木:「フォルタミーノ」(ENZA ZADEN社:オランダ)
図1 定植後の様子
トマトパーク下野第2農場は、1ha規模の実証農場の位置づけで、農場運営の採算性を評価する農場です。トマトの販売も、外食産業などの業務用をターゲットにしたヨーロッパの赤系トマトを選択しました。
第1農場と定植時期をずらす為、7月30日に苗の納品、7月31日に定植を行いました。ハウスの中は連日40℃近くまで上昇し、作業も1時間おきに休憩を取らないと続けられないような環境下で管理作業を行いました。定植後には誘引フック掛けと最初の誘引を行いましたが、お盆休みがあり、パートさんもまだ不慣れなことから、誘引の作業がかなり遅れて、株が倒れてしまう状況にまでなりました。
写真2 定植後の様子
高温が著しいことから第1、2花房はホルモン処理を行わず、第3花房からホルモン処理を行いました。第1、2花房を着果させなかったことについては、収量としてはマイナスではありますが、高温期に着果させた果実は形が悪く、乱形果(指出し果)が発生しやすいため、出荷のできる果実を収穫する上では、第1、2花房を飛ばしたことのマイナスは無いと考えています。その後、8月下旬にはマルハナバチによる受粉に切り替え、ホルモン処理の手間を省くことで大きなプラス(工数削減)となりました。
また作業の遅れから、下葉取りの作業優先順位が低くなってしまいました。9月、10月は下葉取りが思うように進まず、その結果、11月収穫の果実の肥大が抑えられ、S、2S中心の果実肥大となり、収穫量を落としてしまいました。日射が強い時期には下葉が多いことで、光合成産物のエネルギーを無駄に消費してしまい、下葉取り作業の重要性を改めて再認識しました。
トマトパーク下野第2農場の新たな取り組みとして、ヘタ無し収穫があります。市場に出回るトマトは収穫時に収穫ばさみで果梗を切り落とし、ヘタは全て付いています。しかし、食べるときにはヘタは切り落とされてしまう不要な部分ですので、販売先にもヘタ無しで出荷することの承諾を得てきました。収穫ばさみを持たずに収穫できるため、作業の早い方は両手で果実をもぎ取ることができます。農場を運営する中で、収穫の工数削減に大きく寄与していると考えています。
栽培スタート時には困難にも遭遇しましたが、現在は栽培管理も大きな遅れは無く、収穫量も回復しています。これからの春先に向けて生育のスピードアップで管理作業も忙しくなり、ハウスの中も暑くなりますが良い結果を残せるように従業員一同頑張っています。
写真5 2020年1月16日撮影
②トマトパーク第1農場 栽培室3(ミニトマトの栽培室)に新型除湿機を導入
栽培面積が10aある栽培室3、4は空気がこもりやすく、うどんこ病の発生に毎年悩まされる栽培室です。薬剤散布を予防的に行うことで発生を抑えることはできますが、防除が遅れるとうどんこ病が多発してしまう現状がありました。単に除湿ということであれば、ヒートポンプの導入や積極的に窓を開けて暖房する方法もありますが、今回導入したAgam社の除湿機「VLHC」による除湿動作で湿度が低下し、菌の発生リスクも低下する可能性があります。冬の間はハウス内のみで空気が循環するため菌密度が高くなり病気の発生リスクが高くなります。そして今回、除湿と除菌の1台2役の除湿機に目を付けました。稼働を12月末に始め、㈱誠和の研究開発部が機械の稼働状況と環境の変化、室内の菌の状況の調査を行っています。除湿機の効果を検証していますので、その効果の結果についてはもっとデータの集積が出来たらご報告したいと思います。
トマトパーク栽培状況 2月
大玉トマト -栽培室①-
【栽培ノート:2020年1月16日~2020年2月15日】
定植:2019年8月17日 品種 穂木:りんか409(株式会社 サカタのタネ) 台木:フレンドシップ(株式会社 サカタのタネ) 栽植密度:3.12本/m2 |
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生育状況 (2月15日現在) |
総草丈:433.0cm、茎径:10.1mm、葉数:8.8枚、 開花花房:16.3段、収穫段数:11段 |
栽培作業 (2月15日~) |
誘引、直上葉・下葉の摘葉、吊りおろし、 摘花、わき芽取り、収穫、 側枝伸長(栽植密度を増加させる作業) |
病害虫防除 (2月15日~) |
うどんこ病防除、コナジラミ防除、 灰色かび病防除 |
ミニトマト -栽培室③-
【栽培ノート:2020年1月16日~2020年2月15日】
定植:2019年8月17日 品種 穂木:TY千果(タキイ種苗 株式会社) 台木:グリーンセーブ(タキイ種苗 株式会社) 栽植密度:3.12本/m2 |
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生育状況 (2月15日現在) |
総草丈:737.5cm、茎径:10.3mm、葉数:11.8枚、 開花花房:21.7段、収穫花房:15段 |
栽培作業 (2月15日~) |
誘引、直上葉・下葉の摘葉、吊りおろし、 摘花、わき芽取り、収穫 |
病害虫防除 (2月15日~) |
うどんこ病防除、コナジラミ防除 |
写真7 大玉トマト
写真8 ミニトマト
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