トマトパークだより-第28便- | トマトパーク

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写真1 ライトモジュール

トマトパークだより-第28便-

樹間補光について

 トマトパークでは、次世代区画において、昨年の途中から樹間補光のLED照明を導入しております。二条に誘引されるトマト群落の真ん中に、上下二段のライトモジュールを設置しています(写真1)。補光量は100μ㏖/㎡/sで、16時間照射が基本です。今年2018年度作では、9月4日より補光を開始しています。日射強度の強い条件(例:太陽光が500w/m2以上)では、電気代節約のため消灯します。冬季(11月~2月※下野市の日射量の場合)は、太陽光の減少から照射時間を18時間まで延長します。

    写真1 ライトモジュール 

       写真1 ライトモジュール

 

 補光を前提として栽植密度や温度設定、CO2施用などは、アレンジが必要です。特に、増大する光に合わせて栽植密度は大きく変更しています。他の区画では、栽植密度3.12本/㎡で栽培を開始しますが、次世代区画では、早々に第1花房下の脇芽を伸ばし、4.16本/㎡の密度に上げています。また、着果数も通常3果に制限するところ、4果をつけ、増大する光でできた糖を果実に向かわせます(写真2)。それだけ大きな負担をかけても成長点は、パワーを維持していますので、光の重要性に改めて気づかされます。

    写真2 りんかの着果負担の様子

     写真2 りんかの着果負担の様子

 さて、ここまでの栽培状況ですが、次世代区画は、台木の発芽勢の関係より若苗の到着となり、他の区画に比べ、定植日および第1段花房開花日に1週間の遅れがありました。この遅れはそのまま収穫開始日の遅れとなっています。ちなみに、収穫開始は10月12日です。この記事を執筆している11月17日時点では、日数的なビハインドをはねのけ、収量はすでに他区画を抜きトップとなる5.29tとなっています。今年の目標である可販果10aあたり60tに向け、順調な滑り出しです。

 しかし、この栽培における悩みは、意外なところにあります。トマトの株があまりに重すぎて、誘引時に成長点が折れやすい事です。誘引紐はいつもテンションを強く張り、誘引角度が斜めになろうものなら、即座に成長点が折れてしまいます。そのため巻きつけ誘引は早々に諦め、クリップ誘引に切り替えています。

 また、樹間補光に合わせた栽植密度と下葉を残し気味にするため、常にトマトの群落は高いLAIを維持します。葉は中下段でもしっかり光を受けるため老化は問題となりませんが、うどんこ病の出やすい環境が整ってしまうことが課題です。次世代区画は、外気導入装置による半閉鎖型の栽培環境になることから、カビの胞子に対しては細心の注意が必要です。

 

 年間日射の少ない地域など、施設園芸における大きな可能性を秘めている補光技術です。補光技術の利用をお考えの方はぜひ見に来て下さい。妖しくピンク色に光るハウスがご覧いただけます(写真3)。

   写真3 ピンク色に光るハウス内     

    写真3 ピンク色に光るハウス内

 

トマトパーク栽培状況 11月

大玉トマト -栽培室①-

【栽培ノート:2018年10月16日~11月15日 】

 定植:8月17日

 品種 穂木:りんか409(株式会社 サカタのタネ)、台木:フレンドシップ

 栽植密度:3.12本/m2

 生育状況  (11月15日現在)

 総草丈:230.1cm、葉数:10.5枚、開花段数:9段、

 収穫段数:4段目

 栽培作業  (10月16日~11月15日)

 誘引(巻きつけ)、わき芽取り、摘花、

 直上葉・下葉の摘葉、収穫

 病害虫防除 (10月16日~11月15日)

 サビダニ防除、コナジラミ防除、うどんこ病防除

 

ミニトマト -栽培室③-

【栽培ノート:2018年10月16日~11月15日 】

 定植:8月17日

 品種 穂木:TY千果(タキイ種苗 株式会社)、台木:グリーンフォース

 栽植密度:3.12本/m2

 生育状況  (11月15日現在)

 総草丈:418.8cm、葉数:16.8枚、開花花房:12段、

 収穫段数:5段目

 栽培作業  (10月16日~11月15日)

 誘引(巻きつけ)、わき芽取り、摘花、

 直上葉・下葉の摘葉、収穫

 病害虫防除 (10月16日~11月15日)

 サビダニ防除、コナジラミ防除、うどんこ病防除

  写真4 大玉トマトの株の様子             写真5 ミニトマトの株の様子

  写真4 大玉トマトの株の様子             写真5 ミニトマトの株の様子

 

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